停電が起きてもデュアルフューエル発電機があれば安心、と思ったのに実は「ガスだけでは起動できない」と知っていましたか?
デュアルフューエル発電機とは、ガソリンや灯油などの液体燃料と、LPガス(プロパンガス)や都市ガスなどの気体燃料の2種類を1台のエンジンで使い分けられる発電機です。「デュアル(Dual)=二重」「フューエル(Fuel)=燃料」という意味のとおり、燃料の二重化によって稼働の安定性を大きく高めています。
一般的なガソリン発電機は燃料タンクが空になった時点で停止してしまいます。しかしデュアルフューエル発電機なら、ガソリンが切れてもLPガスに切り替えることができ、逆もしかりです。この柔軟性が、防災や長時間稼働のシーンで高く評価されている理由です。
仕組みとしては、液体燃料系統とガス燃料系統の2つの燃料供給ラインが本体に組み込まれており、バルブまたは電気的な切替スイッチで使用燃料を選択します。機種によっては運転中に切り替え可能なモデルもあります。
つまり「1台で2つの燃料口を持つエンジン」ということですね。
| 燃料種別 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| ガソリン | 高出力・即応性が高い。ただし劣化しやすく長期保管に不向き | アウトドア、現場作業、緊急時の即時稼働 |
| LPガス(プロパン) | 長期保存が可能(実質無期限)。ボンベ交換で長時間稼働 | 防災備蓄、家庭用・施設用BCP対策 |
| 都市ガス | パイプラインから継続供給。タンク不要 | 中大型の業務用・施設用 |
ガソリンは製造後おおむね1〜3ヶ月で劣化が進む一方、LPガスはボンベに密封されていれば実質無期限で保存できます。「非常用にガソリンを備蓄していたが、いざ使おうとしたらエンジンがかからなかった」というトラブルは実際に多く、LPガスを備えていれば回避できます。これは使えそうです。
デュアルフューエル発電機は、ポータブル型(家庭用・アウトドア向け)から、施設用の大型業務用タービン発電機(1,000kW超)まで幅広いラインナップがあります。目的に応じた選択が求められます。
デュアルフューエル発電機の最大のメリットは、燃料調達の選択肢が2倍になることです。これは単なる「便利さ」ではなく、災害時に命綱となる電力を守るための実質的な安全弁です。
東日本大震災のような大規模停電時には、ガソリンスタンドに長蛇の列ができ、燃料補給に丸1日以上かかることが実際に起きました。そのような状況でも、家庭にLPガスボンベがあれば、発電機を稼働し続けることができます。LPガスの50kgボンベ1本でELSONAなどの家庭向けデュアル発電機は約30時間の稼働が可能です。「30時間」は、時計の針で丸1日以上の稼働時間に相当します。
メリットをまとめると以下の通りです。
LPガスは燃焼エネルギー密度が都市ガスの約2.2倍あるため、同量のボンベでも発電持続時間は都市ガスより長い傾向があります。この点は覚えておけばOKです。
もう一つ意外なメリットとして、メンテナンスの頻度が下がる点があります。ガソリンをキャブレターに残したまま放置するとガム状の詰まりが起きやすいですが、LPガス主体で使っているとこのリスクを減らせます。ガソリン発電機の定番トラブルである「長期放置後にエンジンがかからない」を避けやすくなることは、特に防災目的の備蓄品として重要な点です。
デュアルフューエル発電機には、見落とされがちな重要なデメリットがあります。厳しいところですね。
最も誤解されやすいのが、「停電時にガスモードで直接起動できる」という思い込みです。実際には、業務用の大型デュアルフューエル発電機(都市ガス+液体燃料タイプ)の多くは、停電直後はガスモードで起動できません。なぜかというと、都市ガスを発電に必要な圧力まで昇圧するガス圧縮機を動かすための電力が、停電で失われているからです。
東京都下水道局の報告書によれば、「停電時はガス燃料による単独始動が不可能。停電時は灯油で始動し、発電した電源でガス圧縮機を運転し、ガス燃料による運転に切り替える」という手順が必要とされています。停電時には必ず液体燃料(灯油・軽油など)で先に起動しなければなりません。液体燃料の備蓄がゼロの状態では、「デュアルフューエルなのに電気がない」という皮肉な事態になります。
参考:東京都下水道局によるデュアルフューエル式非常用発電機の維持管理に関する報告
東京都下水道局|デュアルフューエル式非常用発電機の維持管理(Vol.44)
ポータブル型(家庭用・LPガス+ガソリン)においても注意点があります。製品によっては燃料切替時にエンジンを一度止める必要があり、「無停電切替」はできないモデルがほとんどです。精密機器やサーバー機器への給電中に燃料切替が必要になると、切替の数秒間に一瞬停電が発生するリスクがあります。
その他のデメリットも確認しておきましょう。
出力低下が問題になる場面では、使用する家電製品の消費電力を事前に確認しておくことが対策になります。合計消費電力を家電の仕様書や製品背面のラベルで調べ、発電機の定格出力の約80%以内に収まる構成にするのが基本です。
デュアルフューエル発電機を選ぶときに最初に決めるべき項目は「何のために使うか」です。家庭での防災用途か、アウトドアか、それとも事業所のBCP対策かによって、必要な出力と燃料の種類が変わってきます。
まず出力(kVA / kW)の目安を押さえましょう。kVAとkWの関係は機器によって異なりますが、家庭用発電機の場合は概ねkVA≒kWと考えて問題ありません。下記を参考に選んでください。
| 用途 | 必要な目安出力 | 主な対応家電 |
|---|---|---|
| スマホ充電・照明・小型冷蔵庫 | 1.0〜1.8kVA | LED照明、スマートフォン、ノートPC |
| 冷蔵庫+電子レンジ+照明の同時使用 | 2.5〜3.5kVA | 一般的な家庭電器の大半 |
| エアコン(1kW級)や電動工具との併用 | 3.5〜5.0kVA | 家庭用エアコン・電動丸鋸など |
| 複数部屋・施設・小規模事業所 | 5kVA以上 | 業務用機器・複数系統への給電 |
選び方で重要なのが「起動電力(瞬間電力)」の考慮です。冷蔵庫やエアコン、モーターを使う機器は起動時に定格の3〜5倍の電力を一瞬要求します。発電機の定格出力が3kVAでも、「最大電力が5kVAまで対応」などと記載されている機種を選ぶと安心です。
燃料の種類と稼働時間も確認が必要です。たとえば、EcoFlowのデュアルフューエルスマート発電機では、4Lのガソリンで5.4kWhの発電ができるのに対し、LPGモードでは同じ量で20kWhと約3.7倍のエネルギーを得られます。LPガスはカロリー密度が高いため、同じボンベ1本でも長く稼働できることが多いのです。LPGが条件です。
ポータブル型デュアルフューエル発電機を選ぶ際の具体的なチェックポイントは以下の通りです。
参考として、家庭向けデュアルフューエル発電機の代表的な製品ラインとして、EENOURのDKシリーズ(1.8〜4kVA台)やELSONA(LPガス4.5kVA/ガソリン5kVA)などが知られています。防災目的で選ぶなら、メーカーの保証期間・アフターサポート体制も確認しておくと、購入後に安心できます。
デュアルフューエル発電機が実際の場面でどのように役立つかを把握しておくと、機種選びも明確になります。使われる主な場面は大きく3つに分類できます。
🏠 家庭向け防災・備蓄用途
大規模停電時に、冷蔵庫・照明・スマートフォン充電・医療機器(電動ベッド・在宅酸素など)を動かし続けるための電源として活用されます。経済産業省も非常用発電機について「最低72時間(3日間)の連続運転」を強く推奨しており、LPガスボンベを複数本備えておくことで長期停電にも対応できます。72時間が原則です。
ガソリンは車のガソリンタンクから専用ポンプで取り出せる場合もありますが、法令上は消防法16条に基づき「KHK消防法適合品の密閉できる容器」での運搬が必要です。市販の携行缶(金属製)に入れ替えてから使用しましょう。
🏢 事業所・施設のBCP対策
病院・ホテル・データセンター・マンションなど、電力が途切れることが許されない施設では、大型のデュアルフューエル発電機(都市ガス+液体燃料)が導入されています。都市ガスは地下パイプラインで供給されるため、タンクに燃料を補充する必要がなく、長時間稼働が容易です。ただし、前述のとおり「停電の起動時は必ず液体燃料から」という運用ルールの徹底が必要です。
BCP対策としてデュアルフューエル発電機を導入する際は、経済産業省の「LPガス活用型の石油ガス発電機導入補助金」(上限5,000万円)のような補助制度が活用できる場合があります。制度の内容は年度ごとに変わるため、竹内株式会社の防災機器情報ページや、お近くの商工会議所・LPガス販売店に確認すると確実です。
竹内株式会社|非常用発電機の整備に使用できる補助金一覧(最新情報)
🏕️ アウトドア・キャンプ・イベント
キャンプやグランピングでは、LPガスモードを選ぶと排ガスが比較的クリーンで、燃料の残量管理もしやすい点が好まれます。コーヒーメーカー・ホットプレート・小型プロジェクターを同時に動かすなら2kVA前後の機種で対応できます。
アウトドアで注意したいのは、必ず屋外の風通しの良い場所で使うという点です。ガソリン・LPガスどちらの燃料でも一酸化炭素(CO)を排出するため、テント内や密閉されたガレージでの使用は絶対に避けてください。一酸化炭素中毒は無臭・無色のため自覚症状なく重篤化します。一酸化炭素は必須の注意事項です。
ここでは、一般的な紹介記事では触れられない視点からデュアルフューエル発電機の本質を考えます。
多くの人が「ガソリンをメインにして、なくなったらLPガスに切り替える」という使い方を想定しています。ところが、実際に防災目的でデュアルフューエル発電機を持つなら、最初からLPガスをメイン燃料・ガソリンを緊急起動専用として設計するほうが合理的です。意外ですね。
その理由は以下の3点に集約されます。
「始動はガソリン→安定後にLPガスへ切り替え→長時間はLPガスで稼働」というシナリオが最も現実的です。これが条件です。
この設計思想は、業務用大型デュアルフューエル発電機の運用と完全に一致しています。川崎重工のPUシリーズや住友不動産大崎ガーデンタワーの3,000kVA発電装置も、「起動は液体燃料(A重油)→給電開始後に都市ガスへ切替」という設計になっています。つまり、家庭用ポータブル機と大型業務用機は、同じ思想で作られているわけです。
もう一つ、独自視点として知っておきたいのが「LPガス接続の統一化」という考え方です。家庭で使っているカセットコンロ用ガスボンベ(CB缶)は小型で便利ですが、大型のLPガスボンベ(プロパンガスの50kgボンベ)と接続できる発電機を選べば、すでに家庭に設置されているプロパンガス供給設備を非常時に発電機と共用できます。専用の接続ホースが付属している製品(ELSONAシリーズなど)では、この接続が最小の工事で実現できます。
参考として、ELSONAシリーズの製品情報が以下で確認できます。
ELEON(LPガス&ガソリンハイブリッド非常用小型発電機)公式サイト
「ガソリン備蓄は最小限」「LPガスをメインに据える」という逆転の発想が、長期的な防災コストを下げることにつながります。結論はLPガス主体の備蓄設計です。

デュアルフューエル LPG NG 変換 2KW 3KW 168F 170F GX200 発電機と互換性 168 キャブレターと互換性